2020年10月24日土曜日

たかまつ農業ICT推進協議会に参加して

 私は、高松市役所から依頼されて、2018年度より「たかまつ農業ICT推進協議会」に加わっています。ICTとは、Information and Communication Technologyの略で、情報通信技術のことです。以下ではまず、「たかまつ農業ICT推進協議会」(以下、「協議会」と言います)について、協議会の規約に従って説明させていただきます。

 まず、協議会の設立目的については、「高松市の農業分野におけるICTの導入・活用を推進し、市内農業者の農業経営環境の向上・発展を図る」ために協議会を設置することが謳われています。

 「協議会」での協議の対象は、主に、1)農業分野におけるICTの推進に関すること、(2)高松市農業ICTシステム導入活用事業に関すること、です。ここで、(2)に出てくる高松市農業ICTシステム導入活用事業とは、市内の農業者が農業経営にICTを導入される際の費用の一部を、市より補助するという事業のことです。

 「協議会」のメンバーは、(1)香川県農業協同組合中央地区営農センターの役職員、(2)香川県東讃農業改良普及センター所長、(3)高松市農林水産課長、(4)学識経験者、(5)その他会長が認める者、で構成されます。私は(4)の枠で委員に就くようにお願いされ、さらに協議会の会長にも就くことになりました。

  高松市はスマートシティ化の推進を大きな目標に掲げていることもあり、その一環として、高松市は、農業でもICT普及、スマート化を期待したい、ということのようです。以下は、高松市のスマートシティ化の推進プランの概要をまとめた市制作の資料です。

高松市「スマートシティたかまつ推進プラン2019-2021」

この市制作資料のページ番号40のところには、以下が述べられています。

「本市では、ICT の導入・活用を促進し、農作業の省力化や高品質化等を図っており、2018 年度からは「高松市農業 ICT システム導入活用事業」を開始し、農業従事者が農作業・経営管理システムや人材育成システム、有害鳥獣捕獲監視システム等を導入する際に必要な経費の一部を補助しています。 また、「たかまつ農業ICT推進協議会」を設立し、農業従事者とICT ベンダー等のマッチ ングを行っており、今後、こうした取組を継続、強化していく必要があります」。

 振り返りますと2018年当時は、「農業」と「ICT」を並べるとお互い異質に見えて、私も協議会の周囲の方々もICTが農業の発展にどう寄与できるかについて手探り状態に感じていました。このため、協議会としては、新しいICTを勉強しつつ、地元農家の方々が受け入れやすいICTの農業への活用の仕方を見つけたい、という姿勢で活動を進めていくことになりました。当時はまだ、「スマート農業」よりも「農業へのICT利活用」といった言葉がより多く使われていた記憶があります。

 この協議会への参加をきっかけに、私はスマート農業関連の解説書や新製品・サービスに興味を持ち出し多く接するようになり、農業とICTの関係も徐々に実感がつかめてくるようになりました。

 農林水産省のHPでは、スマート農業技術の開発事例、採用・普及事例がふんだんに紹介されていますので、それも私には参考になりました。以下は、農林水産省のHPでスマート農業の調査事例や普及施策がまとめてある箇所です。

農林水産省「基本政策:スマート農業」

 世間一般では、ICT、スマート農業技術の発展が日本の農業に与える影響を前向きにとらえる議論がとても多いようです。ただし、手放しで喜んでいいのか、実際はどうなのか、特に地元香川県では、…という疑問も持ち上がってきますので、その点について調べなければと考えるようになりました。特に、私はスマート農業の採用に関する農業者の考え方を調査したいと思うようになりました。

 2018年から私は実際にスマート農業、ICTを農業生産で導入している農業者の方々を対象に訪問調査をおこなったり、また、担い手農業者の方にアンケート調査を実施したりするなどして、この実態把握に取り組みました。

 その調査の内容や結果は、次回以降のブログで書かせていただきます。

 以下の画像は、訪問調査先の農家さんが使用されていた、ハウスの環境モニタリングシステムの機材です。施設園芸では、このような機材を使った環境モニタリングシステムの導入からスマート農業の世界に入っていかれる農業者の方が大変多くなってきています。


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