政府は、「スマート農業」を、先端技術と農業技術を融合させる技術として位置づけています。ここでの先端技術とは、IoT、ロボット、ビッグデータ、AIに代表される技術です。このとらえ方について詳しくは、以下の資料の6ページ目に説明されています。
しかし、これだけではスマート農業の具体イメージがややわかりにくいかと思われます。松下秀介氏「経営情報利活用とICT技術」(農業情報学会編『新スマート農業』農林統計出版、2019年、pp. 212-213に掲載)の説明によると、農業経営でのニーズに応じて、スマート農業の技術は以下の四つのタイプに分類が可能です。
1.「農業経営で省力化、大規模化を進めたい」というニーズに対応した技術
この例としては、以下が挙げられます。
・モニタリング:センサやカメラによる生産状況の監視
・マッピング:端末画面の地図上で栽培環境や生産状況を表示して生産管理に利用
・クラウドシステム:センサや端末から収集されるデータをクラウド上で管理
・生産管理 IT システム:端末・アプリで比較的容易に生産管理を進められるシステム
2.「農作業の軽労化、快適化を進めたい」というニーズに対応した技術
この例としては、以下が挙げられます。
・GPSガイダンス:GPS から農機 操作に関して自動的にガイダンスが行われる
・自動走行:農機が自動で動く(GPS、AIを活用)
・収量計測コンバイン:コンバインを走行させると同時に収量を自動計測
・ロボット代替:人力に替わってロボットが農作業
3.「農産物生産の安定化・高品質化を進めたい」というニーズに対応した技術
この例としては、以下が挙げられます。
・気象予測
・病害虫診断
・生育診断
・センシング
・精密化
これらの導入によって栽培管理の精密化、高位平準化、最適化が期待されます。
4.「農業技術に関する知の継承・保護を進めたい」というニーズに対応した技術
この例としては、以下が挙げられます。
・匠(たくみ)の技を形式知化(ここで、「形式知化」とは、言葉や構造で説明できるようにすることを意味します)、
・AI(人工知能)による学習支援
これらの導入によって効率的に担い手が育成されることが期待されます。
さらに技術の細かい種類ごとに、どのような性能があり、農業者のどのようなニーズを満たせるのか、などを知りたい場合は、農林水産省HP内で紹介されている以下のカタログが参考になります。
このカタログをざっと見渡していきますと、この分野にあまり詳しくない人から見たら、スマート農業の関連機材・サービスの種類が見分けられないほど多種多様にあることを思い知らされ、困惑するのではないかと予想されます。
現時点ではスマート農業についてよく知らないが、将来的に使いこなせるようになれたらという方は、まずスマート農業の特徴や仕組みを広く浅くでもとりあえず勉強しておくべきでしょう。こうした勉強に適したスマート農業入門書とも言えるような書籍も最近出回り始めましたので読むことをお勧めしたいです。ただし、そうした書籍の中には、ITベンダー、メーカーの言い分、宣伝文句をそのまま載せて、農業者が本当に使いこなしやすく感じるかどうか、農業者にとって費用対効果で見合うのかなどを詳しく追究しない記述も散見されますので、読み手としては内容が信じるに値するかについて予断を持たず慎重に判断すべきと思います。
その後、自分のニーズに合いそうな機材サービスの候補を選び出し、そこからさらに機材サービスの性能や価格を見渡して、自分のニーズに合致しそうか、自分が使いこなせるか、設備導入費、ランニングコストが高くつきすぎないか、などを見極める必要が出てくるかと思います。
ちなみに、上で挙げた農林水産省HPにあるカタログの説明には、
「※スマート農業技術カタログは、現在開発・販売されているスマート農業技術について、農業現場に広く知っていただくことを目的としたものであり、技術の効果等を農林水産省が確認・認定しているものではありません。各技術の詳細については、各技術の「問合せ先」にお願いします。」
と書いてあります。農林水産省にしてもカタログの内容の妥当性を保証しているわけではなく、農業者に対してその妥当性を能動的に(自ら動いて)判断するように促す立場です。
こうした事情より、スマート農業について知らない人にとってそれを理解して使いこなせるまでの道のりが長く感じられるかもしれません。この過程を突破することを難しく感じる農業者が多いとすると、農業者の間でのスマート農業に対するイメージ・親近感の改善、スマート農業の普及にも支障をきたす恐れが懸念されてしまいます。
農業者としては自分一人だけでスマート農業技術の導入を進めるのは心配でしょうし、行政の改良普及機関、営農指導員などにも相談するほうが無難かと思います。ただし、その際にも農業者自身で上記のようにある程度勉強して予備知識を蓄えておかないと、スマート農業技術に関する専門的な説明や記述が理解できなくて、指導機関との間でうまく話を進められない恐れが高いと思われます。
その後、自分のニーズに合いそうな機材サービスの候補を選び出し、そこからさらに機材サービスの性能や価格を見渡して、自分のニーズに合致しそうか、自分が使いこなせるか、設備導入費、ランニングコストが高くつきすぎないか、などを見極める必要が出てくるかと思います。
ちなみに、上で挙げた農林水産省HPにあるカタログの説明には、
「※スマート農業技術カタログは、現在開発・販売されているスマート農業技術について、農業現場に広く知っていただくことを目的としたものであり、技術の効果等を農林水産省が確認・認定しているものではありません。各技術の詳細については、各技術の「問合せ先」にお願いします。」
と書いてあります。農林水産省にしてもカタログの内容の妥当性を保証しているわけではなく、農業者に対してその妥当性を能動的に(自ら動いて)判断するように促す立場です。
こうした事情より、スマート農業について知らない人にとってそれを理解して使いこなせるまでの道のりが長く感じられるかもしれません。この過程を突破することを難しく感じる農業者が多いとすると、農業者の間でのスマート農業に対するイメージ・親近感の改善、スマート農業の普及にも支障をきたす恐れが懸念されてしまいます。
農業者としては自分一人だけでスマート農業技術の導入を進めるのは心配でしょうし、行政の改良普及機関、営農指導員などにも相談するほうが無難かと思います。ただし、その際にも農業者自身で上記のようにある程度勉強して予備知識を蓄えておかないと、スマート農業技術に関する専門的な説明や記述が理解できなくて、指導機関との間でうまく話を進められない恐れが高いと思われます。
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